世界の六大州のスパイシーな境界事情① ~2025年万博・開催地候補の意外な共通点~
六大州の境界、アジアか?欧州か?
2025年万国博覧会の開催地が、日本国の大阪に決定!!
最終選考まで競っていた都市は、大阪の他、ロシア連邦のエカテリンブルグ、アゼルバイジャン共和国のバクーの、旧ソビエト連邦勢。
3都市ともに、人口100万人を超える国を代表する大都市です。
遠く離れたこの3都市ですが、意外といろいろ共通点があります。
共通点1:候補3都市とも、位置としては “ アジア ”の都市であるということ。
大阪を有する日本、
普段日本人は「私達はアジアの民族だ!」などと意識することはそんなにありませんが、
日本がアジアに分類されることは、言われればほとんどの人が納得するところ。
エカテリンブルグを有するロシア連邦、
首都と主要都市の多くは欧州寄りにあり、国全体としても欧州に分類されますが、
ロシアの中央からまあまあ西方に寄ったところに、ロシアを南北に縦断する「ウラル山脈」があり、ウラル山脈から東側のシベリア地域は、アジア(北アジア)とされており、
エカテリンブルグは、ウラル山脈の東側の麓に位置しているので、アジアの都市とも言えます。
バクーを首都としているアゼルバイジャン共和国、
旧ソ連を構成した共和国の1国であり、ロシアと結びつきが強かったり、国際サッカー連盟(FIFA)の各連盟の中で、アジアサッカー連盟ではなく欧州サッカー連盟側に加盟しているなど、欧州っぽい感じがありますが、
ロシアと西アジアの境界となっている「カフカス(コーカサス)山脈」の南側のアジア側に、アゼルバイジャン・アルメニア・ジョージアの「カフカス3国」は位置しており、
バクーもやはりアジアの都市とも言えます。
共通点2:候補3都市とも、アジアの端側にあり、六大州の境界辺りに位置すること。
エカテリンブルグとバクーは、共通点1での説明通り、ユーラシア大陸の中のアジア州と欧州(ヨーロッパ州)の境界線として扱われている山脈の、アジア側の麓にあります。
大阪は、何かの境界として語られることは特にありませんが、日本全体としてはユーラシア・アジアの極東地域として扱われ、近代史・現代史のことをざっくり取り上げて話せば、日本はアジアにおける西洋資本主義のモデルケースのように扱われていたこともあり、
ある意味、アジアと欧米の境界の国家であり、その国を代表する都市の一つとして、大阪もアジアの玄関口とも言えます。
六大州とは、
①アジア
②アフリカ
③欧州(ヨーロッパ)
④北米(北アメリカ)
⑤南米(南アメリカ)
日本で出版されている地図帳では、大体この順番で紹介されています。
大陸ベースで話をすると「あれ?南極大陸は?」となりますが、南極大陸は南極条約で“ どこの国にも属さない ”とされており、
何等かの研究員や調査員が滞在している他は、定住者無しとされ、一応南極大陸を加えた七大州という用語もありますが、南極を何かの州として扱うことはあまり一般的ではありません。
六大州は概ね、大陸と大陸に付随する島々の集合体で分けられていますが、その境界には諸説あり、
私は基本的に、学校教育で採用されている地図帳を一番の参考に分類はしていますが、地理学者としては諸説を考慮した見方をしようと心がけています。
特に悩ましいのが、同じユーラシア大陸にあるアジアと欧州。
一般的には、先に紹介した「ウラル山脈」と「カフカス(コーカサス)山脈」、そして世界最大の湖「カスピ海」を境界として用いて、
ロシア連邦の欧州側と、シベリア地域・カザフスタン共和国・アゼルバイジャン共和国・ジョージアのアジア側を分けています。
陸の境界の他、海の境界として、ヨーロッパ地中海・エーゲ海・アルマラ海・黒海で、
ギリシャや東欧諸国の欧州側と、トルコ共和国・キプロス共和国のアジア側と分けています。
しかし、トルコ共和国最大の都市・イスタンブールは、アジアと欧州の境目であるボスポラス海峡の両岸を跨ぐように都市圏が広がっていることを始め、
トルコ共和国はボスポラス海峡・アルマラ海・ダーダネルス海峡を隔てた欧州側にも国土を持ち、ギリシャとブルガリアに陸上の国境で接しています。
そして、キプロス共和国は、アジア大陸寄りの島国で、地図帳ではアジアに分類されますが、欧州連合(EU)に加盟しています。
私が地図帳に次いで、アジアと欧州の境界の参考として活用しているものが、
先ほどのアゼルバイジャンの話に出しました、国際サッカー連盟(FIFA)の各連盟への加入状況です。
サッカーは「ボール1つあれば世界中どこででも出来る」と言われ、その最高峰のFIFA・ワールドカップは「オリンピックを凌ぐ世界最大のスポーツの祭典」とも呼ばれているくらい、どんな国・地域でもプレーが可能かつ成功を目指せます。
オリンピックと違い、W杯や世界タイトルの本戦代表を、各大陸の中の競い合いで選出するという特性から、各大陸とその連盟の色が結構顕著に出やすいとされます。
その中で、アジアサッカー連盟と欧州サッカー連盟に、ユーラシア大陸の国と地域がどう加盟しているかを見ると、なかなか面白いです。
ここまで、アジア側の境界として挙げた、カザフスタン共和国・アゼルバイジャン共和国・アルメニア共和国・ジョージア・トルコ共和国・キプロス共和国の6ヶ国ですが、
アジアの国とされながらも、欧州サッカー連盟に加入しています。
ここからも、文化的なことを始め、アジアとも欧州ともとれる由縁を強く感じます。
そしてもう1国、アジアに位置しながら、欧州サッカー連盟に加入している国が「イスラエル国」。
これは「何で?」と言うよりも、「なるほど!そうですよね~!」と、ちょっとばかり不謹慎なくらいの勢いで納得してしまうほど、理由は分かりやすいもの。
ロシア連邦のウラル山脈以東のシベリア地域、カザフスタン共和国・アゼルバイジャン共和国・アルメニア共和国・ジョージア・トルコ共和国・キプロス共和国、そしてイスラエル国、
これらの国・地域をどう見るかが、アジアの欧州の境目の1つのポイントとして考えています。
面白いという表現はやや不適切かも知れませんが、アジアの欧州の境界を考えると、いろんな物語が見えてきますね。
更に面白いことが、アジアと欧州の境界だけでなく、六大州・各大陸全てにおいて、国家と国家とで完全に分断されている訳ではなく、六大州・大陸を跨ぐように国家が隣に張り出していまして、それらは今後別の話で紹介します。