世界の六大州のスパイシーな境界事情② ~スエズ運河で寸断された超大陸~
アフロ・ユーラシア大陸
アフリカ大陸とユーラシア大陸を合わせた大陸の名称です。
通常、別々の2つの大陸として分けて数えることがほとんどですが、アフリカ大陸とユーラシア大陸は「スエズ地峡(ちきょう)」で元々陸続きで繋がっているので、
「アフロ・ユーラシア大陸」という、1つの超大陸と見なすこともできます。
「ユーラフラシア」「アフラシア」という呼びもありますが、こちらはあまり使われていません。
今はスエズ地峡に「スエズ運河」があるため、厳密に言うとアフリカ大陸とユーラシア大陸は “ 陸続き ” ではなくなっています。
アフリカとアジアの境界 ~スエズ地峡・スエズ運河・スエズ湾~
「地峡」についてですが、大雑把に言えば「海峡」の陸地バージョンです。
陸と陸に挟まれた、海が狭くなっている海域のことを「海峡」と言うように、
海と海に挟まれるようになっている、陸地と陸地を繋ぐような地形の地域のことを「地峡」と言います。
エジプトの「スエズ地峡」、パナマの「パナマ地峡」、タイの「クラ地峡」、イギリスの「カレドニア地峡」などがあります。
エジプトの「スエズ地峡」は、紅海(こうかい)・スエズ湾とヨーロッパ地中海に挟まれた地峡で、
「スエズ地峡」の一番細くなっている海と海を結ぶ線が、アフリカ大陸とユーラシア大陸・アジア大陸を分ける境界のようになっています。
ただし、アフリカに属し、スエズ運河を有する国家「エジプト=アラブ共和国」の国土は、スエズ地峡よりも東の「シナイ半島」にまで及んでいます。
「シナイ半島」はユーラシア大陸・アジア側の半島であるので、エジプトは、ユーラシア・アジア側にも跨いで国土を持っていることになります。
以前紹介した、アジアと欧州を跨ぐように国土を持つ「トルコ共和国」と少し似ています。
アジアと欧州の境目ほどの分かりにくさはありませんが、
アフリカとアジアの境界もまた、六大州・大陸を跨ぐように国家が存在しています。
アフリカとアジアの境界 ~紅海・マンダブ海峡・アデン湾~
そして、スエズ地峡とスエズ運河・スエズ湾・シナイ半島から先は、
アフリカ大陸とアジア側世界最大の半島「アラビア半島」に挟まれた海域、紅海・マンダブ海峡・アデン湾を境界のようにして、アフリカとアジアが分かれています。
この運河と海域は、世界的にとても重要な航路で、一時期話題が多かった“ ソマリア沖海賊 ”などによる海の事件もかなり警戒を要するので、
海外に軍事的拠点を持つことなどほとんど想像し得ない今の日本ですら、マンダブ海峡に面する国家「ジブチ共和国」に、
自衛隊の初にして現在唯一の恒久的な海外施設(いわゆる「海外基地」)を構えているほど。
アフリカとアジアの境界は、世界の経済的・戦略的に見て、かなりの重要な地域・海域として、安全と平和のために各国の連携が恒久的に求められます。
ですので、イスラエル・パレスティナ問題や海賊問題を抱えながらも、エジプトやサウジアラビアといったアラブ世界の盟主的存在の国々が、欧米諸国と上手く折り合いをつけてくれていることは本当にありがたいことですな。